樺太には、宮沢賢治が『銀河鉄道の夜』の着想を得たと言われるサハリン鉄道が南北に走っています。当時と比べると路線も変わり、北へと大きく伸びたので、宮沢賢治の見た景色をそのままみられるわけではありません。しかし、『銀河鉄道の夜』の世界観の一端くらいは味わえるはず!ということでサハリン鉄道に乗ってきました💨
サハリン鉄道(乗るなら二等車がおすすめ!)
内装も外装もシベリア鉄道と同じでした。一年越しにまた乗れると思ってなかったので、感慨深かったです。
針葉樹林の中を走っていきます。
今回、行きは二等車(右)、帰りは三等車(左)に乗りました。結果分かったこととしては、『銀河鉄道の夜』の世界観を楽しむには二等車の下の席がおすすめ!!ということです。
二等車は定員4人の個室になっていて、夜、部屋の人々全員が寝れば、明かりをすべて消すことができます。街灯もまったくない森の中を走るので、小さな星の輝きすらも見えるようになります。下から空を仰ぐように見れば、地面も針葉樹も見えず、視界にはただ星空だけが広がり、電車が曲がるにつれてゆっくりと見える範囲も動いていきます。本当に銀河の中を鉄道で走っているようなのです。何時間でも起きていたい、素敵な夜でした。
一方、三等車は個室がなく通路と一体化されていて、夜になっても灯りが消えることがなく、満天の星空を仰ぎ見ることはできませんでした。
また、三等車で近くによく咳き込む方がいて、私も風邪をうつされてしまいました。念のため、マスク持って行った方がよさげです…。
ノグリキ観光
翌朝、鉄道の終着点、ノグリキにつきました。駅を出てまっすぐ進んだところにバス停がありました。しかし、ノグリキのバス停には時刻表の掲示がなく、いつバスが来るかを知るためには地元の方に聞かなくてはいけませんでした…。観光地ではないので仕方ないですね。それにしても、ノグリキではいつもに増して多くの方のお世話になってしまい、申し訳なく感じてしまいました。もう少しロシア語勉強していけばよかったなあ。
バスに30分ほど揺られ、ノグリキの町中へと着きました。やはりロシアの教会は色鮮やかで美しいです。
ノグリキで観光スポットと呼べるものは、教会と郷土博物館くらいです。博物館にはニブフのあれこれが展示されていました。博物館の女性たちが、ニブフの伝統的な踊りを見せてくれました。また、係りの方が英語で展示物について説明してくれました。温かい博物館でした。
宮沢賢治が訪れた、スタロドゥプスコエ(栄浜)の石も展示されていました。
その後、することもなくうろうろしていると、草むらから「ニャー」という声が。そちらを見てみると、可愛らしい子猫がいました。あまりにすることがなかったので、1時間くらい子猫と戯れていました。
途中で通りかかった近所の方によると、この子猫はTedという名前で、近所の方から可愛がられているそうでした。近所のおじさんがくれるシシャモが主食のようです。
Tedと別れを告げた後、草むらのチキチキバッタが足を鳴らすメカニズムに夢中になっていたところ、うっかり野良犬の脚を踏んでしまいました。
狂犬病を覚悟しました。
しかも中型犬だったので、狂犬病どころか噛まれたらもう勝てないだろう、ここで死ぬのだと覚悟しました。
しかし心優しい犬だったので、事なきを得ました。松ぼっくりを投げてフリスビーごっこして遊びました。
途中、仲良くなった犬が他の犬の所へ行って親しげにしっぽを振っていました。「お友達なんだなあ」とほほえましく見守っていたら、どうもそうではなかったようで、私ともども吠えられて追いかけられて追い返されました。この旅で一番怖かった瞬間でした…。
このあと犬とも別れて、どうにかノグリキ駅へと戻り、再び銀河鉄道に乗ってユジノサハリンスクへと帰りました。