【オルセー】ルノワールと愛展!有名作品から意外な作品まで大集合 (Renoir et l'Amour)

オルセー美術館にて3/17に開幕した「ルノワールと愛 (Renoir et l'Amour)」展に行ってきました。ルノワールの絵画が一堂に会していて、ルノワールらしいものから意外な作品まであり、とても楽しかったです。ルノワールや印象派が好きな方には、ぜひお勧めしたい展示でした。

ルノワールと愛展 初日の様子

初日は平日でしたが、 通常より多くの人々が美術館を訪れていました。ルノワールの展示スペースは少々混み合っていたものの、絵を見るのには不自由しませんでした。かなり広い美術館だからか、他の常設の部屋はたいして混んでいませんでした。

Autoportrait, Auguste Renoir

展示室の入り口ではルノワールの自画像がお出迎えしてくれます。ルノワールはあまり自画像を描かなかったので、これはレアな作品だそうです。批判されるばかりで作品があまり売れなかった35歳頃の作品で、少し険しい顔つきをしています。

筆のタッチが大胆に残っていたり、明るい青色で顔の影を表現しているのが斬新に感じました。オルセー美術館では印象派以前の肖像画も展示されています。ぜひ見比べてみてください。

芸術家たちの暮らし (la vie de bohème)

職人夫婦のもとに生まれたルノワールは、磁気の絵付職人として働いたのち、画家の道を志すようになります。ここには第一回印象派展以前のルノワール初期の作品が展示されていました。

Frédéric Bazille, Auguste Renoir

印象派の画家、バジールを描いた絵です。バジールはルノワール、モネ、シスレーらと共に印象派誕生に深く関わった画家です。実はバジールと同じ題材の静物画をこの場でシスレーも描いていたり、壁にはモネの雪景色の絵が飾ってあったりと、彼らの親密さが密かに表現されています。素敵ですね。

Le Garçon au chat, Auguste Renoir

全体的に寒色で寂しげな感じです。ルノワールといえば、暖かい色彩で女性を描いているイメージだったので、新鮮で驚きでした。

ルノワールが初期に描いたこの絵は、実のところ謎多き一枚だそうです。この少年のモデルは当時の恋人の弟ではないかといわれているものの定かではなく、他の作品に同様の人物は登場しません。寒色で描いているのは、クールベやマネの影響だそうです。

La Grenouillère, Auguste Renoir

この展覧会のためにスウェーデンからきた絵です。パリで出会えて嬉しい!戸外にキャンバスを構えて複雑な対象を描いたことで、以前より自由な筆致で描かれており、印象派のスタートに向けた第一歩として重要な作品だそうです。

近くで見ると絵筆でシャッと描いた跡が残っているのに、遠目に見るとリアルな波打つ水面になっているのが印象的でした。

折よくTwitterで関連マンガを読んだところだったので、タイミングよく見られて嬉しさ倍増でした。

モネとルノワール4コマ「ラ・グルヌイエール」【5分でわかれ!印象派】-ニューすごろぐ

La Promenade, Auguste Renoir

ルノワールがカップルを描き始めた当初の作品だそうです。ようやく「Renoir et l'Amour」展の名にふさわしい作品が出てきました。仲睦まじい様子がほほえましく、洋服に反射する陽光の暖かさを感じます。

恋の祝宴 (fêtes galantes)

1870年代のルノワールは、印象派展に参加する傍ら、風景の中の人物を描くことに取り組んでいました。1876年に家を借りたモンマルトルで数々の作品を手掛けており、この時期に『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』も描いています。

 

Le Printemps, Auguste Renoir

この絵はモンマルトルの家庭菜園にて描かれたものだそうです。ルノワールは人物の心情を花で彩られた風景によって表現することが多い画家でした。白い花が咲き誇っていて、明るく暖かい雰囲気のお庭で、二人の心も通い合っていたのかな。

La Balançoire, Auguste Renoir

このブランコはモンマルトル美術館に今も残っており、記念写真も撮ることができます。私も数か月前に現地を訪れたばかりだったので、ルノワールの絵を見られて感動もひとしおでした。春の陽光が降り注いで、とても暖かな雰囲気の美しい絵です。

…が。絵の解説によると、この人物たちの関係は敢えてぼかされており、左下の女の子はモンマルトルの情事によって生まれたたくさんの子供たち(たぶん、ちょっと複雑なご家庭になるのか?)の暗喩かもしれないらしく、ちょっと意味深な感じ…。

木漏れ日を明るい色の絵筆でシャッ!と描いているのが特徴的な半面、当時の批評家には批判されてしまったそうです。2026年の今見ると、やわらかい雰囲気でとても素敵だなのにー!

Etude, Auguste Renoir

周囲からの光を受けて様々な色を映す女性の肌が美しい作品です。輪郭をあいまいにぼかす手法は、当時の伝統的な芸術とは相いれず、挑戦的な試みだったそうです。

ルノワールの裸婦というと、もっとぽっちゃりしているイメージだったので、少し意外に感じました。今回の展覧会ではふくよかすぎる女性の絵はなかったので、私が一部の作品の印象に引っ張られてしまっていたのかもしれません。

街での出会い (Rencontres en ville)

1870年代後半には、パリでの暮らしがルノワールのインスピレーションの源になっていたそうです。彼は大通り、カフェ、劇場などの公共の場所を、幸せな出会いに満ちた場所として描いていました。

Les Grands Boulevards, Auguste Renoir

アメリカのフィラデルフィア美術館から来てくれた作品です。ルノワールは1870年代に大通りに関心をもち、道の端にキャンバスを構え、自らも雑踏の一部になりながら絵を描きました。

オスマン建築に挟まれ整備された並木道の景色は、今とあまり変わりません。見慣れたパリの街並みに、シルクハットの男性や馬車が行きかう光景が、不思議に感じられます。明るい色彩、ぼやけた輪郭が暖かく幸せそうな雰囲気を醸し出しています。この絵を見たうえでパリの街に出かけたら、街の景色がより暖かく感じられそうです。

Le Pont des Arts, Auguste Renoir

この作品もアメリカから来てくれました。ルノワールが育ったパリの街は、この頃近代的な街に変化を遂げていました。ルノワールは以前の街の破壊ともとらえられるこの変化に批判的な目線を向けながらも、新旧の建物を調和的に描いています。

輪郭がはっきりしていて、繊細なタッチで描かれているので、最初はルノワールの絵だと思えませんでした。1867年ころに制作されたルノワール初期の作品なので、あまり印象派らしくないのかな。この展覧会では、ルノワールらしくない作品にも出会えて面白かったです。

田舎での集い (Une partie de campagne)

1870年代のルノワールは、パリ近郊の町ChatouのレストランFournaiseやボート遊びに着目した絵を残しています。彼の絵の中の人々は程よくリラックスした様子で余暇を楽しんでいます。当時の文学作品で、だらしがなくふしだらな人物がしばしば描かれていたことを踏まえると、ルノワールの目線は特徴的だったようです。

Jeune femme sur la terrasse du restaurant Fournaise, Auguste Renoir

この絵もルノワールお気に入りのレストラン、Fournaiseにて描かれたものだそうです。このレストランはパリ近郊の町Chatouにて今も営業しているとのこと!行かなくちゃ!

RESTAURANT MAISON FOURNAISE / Restaurant traditionnel français / CHATOU

La Seine à Chatou, Auguste Renoir

こちらは同じくChatouの町から見たセーヌ川の風景画です。草木が生い茂っていて、のどかな田園地帯といった雰囲気です。

この前電車で通過した際は、もっと都会だったような…???もう一度足を運んで確認しなければ!印象派の画家はパリ近郊の馴染みのある街を描いてくれているので、聖地巡礼しやすいのがありがたいです。

ダンサー (Danseurs)

1882年の夏以降、ルノワールは新たな挑戦として等身大の大きさのダンスの絵を描き始めます。

Danse à la campagne, Auguste Renoir
Danse à Bougival, Auguste Renoir

左は1883年に描かれた『田舎のダンス』、右は同年に描かれた『ブージヴァルのダンス』です。右の作品はアメリカのボストンミュージアムから来てくれました。同じテーマの作品を間近で見比べられる貴重な機会でした。

『田舎のダンス』では、女たらしの友人ポール・ロートと、のちにルノワールの妻となるアリーヌをモデルとしています。ええ~、のちの妻を女たらしの男性と踊らせていいの~!?と思いましたが、アリーヌの目線はロートではなく画家の方に向けられているので、大丈夫そうです。

『ブージヴァルのダンス』では、二人の顔が近づき、手袋なしで触れ合い、さらに親密そうな雰囲気です。美術館の解説では、アリーヌだけではなく、ルノワールの友人シュザンヌ・ヴァラドンも本作のためにモデルをしたとのことでしたが、この女性がどちらなのか(どちらでもないのか?)は明言されていません。男性はアルフォンス・フルネーズであるとしていますが、日本語ウィキペディアでは田舎のダンス同様ロートだとしており、諸説あるようです。

母子、兄弟姉妹 (Femmes et enfants, frères et sœurs)

ルノワールはあまり子供を描いていませんでしたが、1880年代初頭に家族や兄弟姉妹の肖像画の注文を受けたことから、家族愛の表現も試すようになりました。1885年に息子が生まれたことも、彼の人生や作品のターニングポイントとなりました。また、この頃はルノワールが印象主義から距離を置き、新しい描写を模索していた時期とも重なります。

Jeune mère, Auguste Renoir

イタリア旅行でラファエルの聖母子像にインスピレーションを受けて描いた作品だそうです。ただしルノワールは宗教的なテーマを、宗教画ではなく世俗の生活の中に表現することを選びました。

赤ちゃんのあどけない表情やムチムチのあんよ、それを優しく包み込む母親の眼差しと手がとても暖かい作品です。

大衆のとりこ (Emportés par la foule)

食事やダンスの絵画で成功を収めた後、ルノワールはしばらくスランプに陥ります。印象主義の手法に満足できず、彼は戸外での制作をやめ、新しい描き方を模索します。

Les Parapluies, Auguste Renoir

この作品は1881年に右側から描き始め、1886年に左側と奥を描いて完成したそうです。その5年間でルノワールの描き方が変化しており、後に描かれた部分ほど輪郭がくっきりとし、淡い色合いで描かれています。

ルノワールというと、白い洋服に暖かな光が反射しているイメージでしたが、青や黒で締まった印象の絵画も綺麗だと感じました。雨粒は描かれていないのに、色合いからも雨の日の雰囲気を感じ取れます。

 

有名な作品から、一見ルノワールらしくない作品まで、様々な絵画を見られて満足度の高い展覧会でした。2026年7月19日まで開催されているので、ご興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

関連記事

www.riboribo.com

ルノワールのアトリエがあった場所にある美術館で、『ぶらんこ (La Balançoire)』で描かれたぶらんこが今も設置されています。パリ内のモンマルトルにあるので、アクセス良好です。